明治大学事件声明

声  明

3月4日、東京都労働委員会で首都圏なかまユニオンが取組んできた明治大学事件(平成28年不第90号事件)に対する命令書が出されました。命令では、組合員の非常勤講師契約の更新等を議題とする団体交渉において、大学が具体的な説明を行わなかったこと、 及び大学が団体交渉申入れに応じなかったことは、不当労働行為であるとして救済されました。
首都圏なかまユニオンは、明治大学に対してこの命令を速やかに履行し、誠実に団体交渉に応じて本件紛争の解決の図るよう求めます。

(1) 本件は、①明治大学の非常勤講師であった組合員の契約更新等に関する3回の団体交渉が不誠実団交に当たるか否か②別の2回の団体交渉申入れを明治大学が拒否したか否か、拒否したといえる場合に正当な理由なく拒否したか否か、という2つの争点について都労委で審査されました。
(2) 命令では、団体交渉に入る前に2度に渡って開催された事務折衝に対応していた法学部関係者が、団体交渉移行後には出席しなかった点に関して直ちに不当労働行為とはいえないとされました。しかし、事務折衝で「28年度の雇用は無理であるが、29年度の雇用を検討する余地はある旨を説明した」経緯を踏まえた上で、大学側が「交渉が継続できるような対応であったとは到底いうことができない。大学は、法学部の教授を出席させるか、又は、法学部から十分な説明を受けた理事を出席させ、事務折衝の経緯を踏まえた上での交渉に努めるべきであったといえる」として「大学の対応は、不誠実な団体交渉であったといわざるを得ない」と判断しています。明治大学が誠実に団体交渉に応じる義務を果たしていなかったことを都労委は明確に示しています。
(3) また、命令では、第2回・第3回の団体交渉において大学側が「1)法学部教授会決定に至るまでのプロセスを十分説明しており、これ以上団体交渉を重ねても、大学の回答に変化はないこと、2)大学としては、組合が今後の要求の趣旨や争点を明らかにせず、漫然と従前の要求を繰り返す限り、当面団体交渉に応じるつもりはないことを回答している」点について団体交渉を拒否したものと明確に判断しています。そして、組合からの団交要求に対して「要求事項について交渉の余地はなく、団体交渉が行き詰まっている」として団体交渉を拒否した点も「大学は誠実交渉義務を尽くして」いないことから「団体交渉に応じる必要がないとの意思を示したもの」と判断しています。
このことは、大学における非常勤講師の「雇止め」などその地位を巡る問題について、非常勤講師の雇用の安定を図っていくために、労働組合が団体交渉を通じて切り拓くことができる課題を明示している点でも大きな成果であったと考えます。
(4)救済方法について、命令は、組合員の雇用問題が団体交渉によって進展しなかったことから、組合に対して「今後、このような行為を繰り返さないよう留意します」との文書を通知し、命令履行を都労委に報告することとしています。当該組合員にとっては、「契約更新」や「再雇用」について実効性が確保されるものではありません。今後の交渉を通じて、1年ごとに契約更新を繰り返さざるを得ない非常勤講師の地位を、大学教育の継続性やその質の向上といった視点で制度的に見直しが図られていくことを社会的な課題としていく所存です。
(5)本件争議の解決に向けて、不当労働行為であった事実から出発して全面解決を求めていく新たな土俵が作られたことを活かして解決に向けた団体交渉を明治大学に求めていきたいと思います。明治大学に対して、改めて誠実に団体交渉に応じて、本件争議の解決を図るよう強く求めます。

2019年 3月 7日
首都圏なかまユニオン
委員長    伴 幸生
代理人 弁護士  指宿 昭一

2・15東京総行動

新日鉄住金ソリューションズは、セクハラを認め謝罪し、Aさんを職場に戻せ!

新日鉄住金ソリューションズは、新日鉄の情報システム部門からできた会社です。新日鉄住金ソリューションズは、東京総行動の要請に応じようとしていません。厳しく、糾弾します。

争議当該であるAさんは2013年3月から派遣社員、そして翌年6月からは契約社員として新日秩往金ソリューションズ抹式会社に勤務していました。そのグループリーダーのX氏から、年末の忘年会で「ホテルに行こう」からはじまり、「こんどエロ対決しましょう」「エロ対決を、いつかすることも、入れていい?」「こんど中身見せて」といったメッセージが送られるようになりました。
交際を断ったことに対する嫌がらせ行為が始まったためAさんは耐えられなくなり、Y部長に相談しました。しかし、事態は改善されるどころか、Y部長の命令でX氏のアシスタント業務につくことになってしまいました。そのため、Aさんは病気を悪化させ、2015年1月から休職に追い込まれ、雇止めにまでなってしまいました。
会社が安全配慮義務を果たし、Aさんの相談にちゃんと対応していれば、こういう問題になっていません。会社の責任は重大です。会社は雇止めを撤回し、職場の環境を改善し、Aさんを職場に戻すべきです。
首都圏なかまユニオンは、5回の団交で会社を追求しましたが、会社はセクハラの事実を目の前にして「セクハラではない」と主張し、安全配慮義務も認めませんでした。昨年5月25日裁判提訴に踏み切りましたが、裁判は進行協議だけが続き、この間の団体交渉の申し入れに対しても「裁判中」を理由に会社は拒否し続けています。裁判でも、セクハラの事実を明らかにすることに抵抗しています。
しかし、セクハラの事実は消せません。新日鉄住金ソリューションズで起こったセクハラは週刊金曜日・テレビ朝日・ジャパンタイムスでも報道されました。職場でのパワハラを防ぐため、厚生労働省は企業に対し、防止策に取り組むことを法律で義務づける方針も打ち出されています。
さらに闘いを広げ、新日鉄住金ソリューションズを社会的に包囲していきます。みなさんのご支援よろしくお願いします。

https://tokyo-sokodo.blogspot.com/ 東京総行動

 

「教育無償化」と「雇用」をつなぐネットワーク作りを 「労働尊重都市」ソウル市から学ぶ

奨学金連絡会では、「奨学金負債」の問題とともに「教育」と「雇用」をつなぐ青年層の「貧困問題」解決に向けてシンポジウムを企画準備しました。韓国・青年ユニオン創設者のひとりで現在、ソウル市労働政策担当官として労働尊重都市・ソウルの労働政策を立案・推進しているチョソンジュ氏をお招きして、韓国での労働法制改正の流れやソウル市での青年政策について報告していただきます。全国一律の最賃制度実現(同一労働同一賃金の原則から)・1500円以上(最低限度の生活保障)と「給付型」奨学金本格実施と連動させた「貸与型」返還者への救済制度設計、地方自治体独自の「給付型」奨学金創設など様々な課題をつないでいく取組を進めていきたいと思います。ぜひご参加下さい。

〈シンポジウムでの報告〉
☆報告
趙 誠柱(Cho,Seong ju)さん(Labor Relations Officer)
「ソウル市の労働政策と労働組合の社会的役割」(仮題)
☆パネル討論
☆意見交換~教育と雇用をつなぐ地域社会を考える

教育の機会均等を作る「奨学金」を考えるシンポジウム3 への賛同・参加の呼びかけ
日本学生支援機構労組〔新宿区市谷本村町10-7 03(3269)6096〕各種学校専修学校関係労組連絡協議会〔杉並区和田2-6-29 佼成学園教職員組合気付〕首都圏なかまユニオン〔新宿区筑土八幡町2-21-301 03(3267)0266〕
(協賛・後援)奨学金問題対策全国会議

声明:ドレイ化促進法=「働き方改革推進法案」を廃案に!

2018年、私たちの最大の課題は、憲法改悪案の国会発議を阻止することと、徹頭徹尾反労働者的な内容である「働き方改革推進関連法案」を、1月22日開幕の通常国会で全労働者・市民の力で廃案にすることである。
法案の高度プロフェッショナル制度は、残業代ゼロ法であり、1日8時間、週40時間、休憩時間、時間外労働への割増賃金の規制をすべて適用除外とする。1日24時間14日連続労働も可能な制度になっている。年収要件は当初1075万円以上とされるが、これを400万円以上にしたいのが経団連の本音である。塩崎前厚生労働大臣は経団連を前に「小さく生んで大きく育てる」と約束している。
また、裁量労働制は、新たに「事業運営事項の実施把握・評価業務」「法人提案型営業」への拡大が狙われている。前者のような抽象的な規定では、管理職だけでなく、管理業務に関係する極めて広範な労働者が対象とされる恐れが出てくる。後者は、既製品の単純な販売営業を除くほぼすべての営業職が対象となりかねない。
残業時間規制も過労死認定水準をそのまま維持したに過ぎない。(1)残業時間は「月45時間、年間360時間以下」を原則とする(2)繁忙期であっても「月100時間未満」「2~6カ月の月平均がいずれも80時間以下」とする(3)月45時間を超えるのは年6回まで(4)繁忙期を含めても「年720時間」を上回らない。などとしており、このうち、(2)については休日労働を含んだ規制だが、(1)(3)(4)は休日労働が含まれていない。そのため、休日労働を行えば、毎月80時間、年960時間残業が合法化される。また法制化に伴い、これまでの過労死認定の司法判断水準の後退も懸念される。
法案は、労働者派遣法、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)に正社員と非正規労働者(パートと有期雇用、派遣)の「不合理な待遇の禁止条項」を設けた。しかし、法案には「同一労働同一賃金」という文言はない。非正規労働者を正社員と均等待遇にしなければならない条件は「非正規労働者の職務の内容や配置が、その職場の正社員と同様に変更されること」である。勤務地変更を伴う正社員と勤務地が特定される非正規労働者では同じ仕事をしても差別待遇が許されるという〝差別合法化法案〟である。この法案の成立と同時に、現行の労働契約法20条は廃止される。
更に突然盛り込まれたのが雇用対策法の一部「改正」である。「雇用対策法」を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業政策の充実等に関する法律」に名称変更し、目的として「労働生産性の向上」を、国の施策として「多様な就業形態の普及」を初めて明記した。主に女性をターゲットにした請負型テレワークの拡大に見られるような、労働基準法が適用されず規制も権利も解体される〝労働契約自由社会〟(「働き方の未来2035」厚労省)へのお墨付きである。
安倍首相は日本を「世界で一番企業が活躍しやすい国」にすると繰り返している。安倍首相の言葉を言い換えると〝世界で一番労働者が奴隷化した国〟となる。グローバル資本は①より低賃金であること②死ぬまで働かせることが可能なこと③解雇が自由にできることを要求している。安倍はグローバル資本の忠実な僕なのだ。
「労働憲法」といわれる労働基準法公布から今年で71年。公布の1年後に出版された『労働基準法解説』は「民主主義を支えるものは究極において国民一人一人の教養である。国民の大多数を占める労働者に余暇を保障し、必要な物質生活の基礎を保障することは、その教養を高めるための前提要件である。労働基準法は労働者に最低限度の文化生活を営むために必要な労働条件を保障することによってこうした要件を充たし、我が国における民主主義の根底をつちかわんとするところにその政治的な制定理由を持つ」(労働省労働基準局課長・寺本廣作)とうたっていた。
労働者の奴隷化を促進する「働き方改革推進法案」を葬り去ることは日本に民主主義を作り出す闘いだ。通常国会―安倍政権を包囲する闘いで法案を阻止しよう。
2018年1月1日
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